[レポート]いま、データに必要な解像度 #01pN
2024.12.10
さがらです。
2024年12月10日に、primeNumber社主催のイベント「01(zeroONE) 2024」が開催されました。
本記事は、セッション「いま、データに必要な解像度」のレポートブログとなります。
登壇者
- デジタル庁 Chief Analytics Officer 樫田 光 氏
- 株式会社primeNumber 取締役執行役員CIO 山本 健太 氏
登壇資料
樫田氏の自己紹介
- ここ10年くらいデータ関係のキャリアを経ている
- 元々は民間出身、データサイエンティストとして機械学習のコードを書いたことも
- 現在のデジタル庁での業務内容
- 政策内容の見える化などを行っている(政策ダッシュボードとして公開中)
- ただし、立場の関係もあり踏み込んだ業務内容の話は出来ない
解像度について
- 解像度とは
- 見ようと思っている対象をどれだけ細かく描写できるか
- データの話をするときに、そもそも「データ」自体の解像度が低くないか?
- 解像度を高めるためのデータの解像度を高めるための議論を、今日はしていきたい
- データとの向き合い方、のような話をしていく
Theme1:データを使うとはどういうことか?
- 山本氏の回答
- どのつまみをいじるとビジネスがドライブするかを判断するために、データを使っている
- 一般的な回答
- 「データをビジネスに役立てること」
- これが間違っているとは言わないが、解像度が低い
- いま必要な解像度「情報量をデータ消費者の言語体系に調整すること」
- 前職のメルカリではMAUが2000万
- この2000万のデータを事業意思決定者(CEOとか)にそのまま持っていくと、怒られると思う
- 一方でAIに対しては、2000万のデータを全てそのまま使って分析させるべき
- 「誰が」データを「どうやって」使うのか、によって必要なデータの粒度が異なる
- 経営陣に見せるためにはデータの粒度を荒くする必要があるが、それで必要なデータを削ぎ落とすことはないのか?
- 経営陣にとって、見せたデータをちゃんと消化できていることが大事
- 経営陣は早食いで少食なことが多い
Theme2:データ分析は何に使えるか?
- メルカリ時代にすごい悩んでいた
- 一般的な回答
- データは意思決定のためにある
- データドリブンとはよくいうが、悪く言うと受動的にも感じる(山本氏)
- いま必要な解像度「データは意思決定と実行の間にある」
- 意思決定というと、「経営会議の場でデータを見て意思決定する」とイメージをするが、実際は各現場での小さな意思決定が多い
- 大きな意思決定なのか、小さな意思決定なのか
- メルカリクラスの会社でも、会議のその場で意思決定をすることは正直なかった。いわゆる根回しみたいなものが大きな意思決定の裏にある
- 意思決定を移譲していくことも大事だと思う(山本氏)
- 逆に、意思決定をあまりしないという重要さもある
- 戦略はデータで決まる一方で、実行するときにはデータがサポートすることもある
- そのため、「データは意思決定と実行の間にある」と考えている
Theme3:データに求められる態度とは?
- 一般的な回答
- データは常に客観的であるべき
- いま必要な解像度「データは主観×客観の重ね合わせ」
- 客観的な分解という意味はありえるのか?(「新規」・「継続」に分解しているけど、「新規」と「継続」ってそもそも何?)
- 過去、新規を「直近30日登録」としていたが、「なぜ30日か」はわからなかった
- 鳥の写真について
- 国や言語によって、何をどう見るかは異なる
- どれが正しいというものはなく、ある意味「自分たちに都合の良いように分解」して自分たちは生きている
- 主観を入れる場合
- 主観を入れる際は、「どういう意思があってその主観を述べているのか」をちゃんと言えることが大事
- 主観的な意見を言えるということは、対象事業の理解度が高いから言える、ということでもある
- 客観性と行動の間には距離がある
- 「決めて前に進む」という、スピードが大事になることも多い
Theme4:データの価値は何で決まるか?
- 一般的な回答
- データの価値はデータの量、データ基盤、分析のクオリティで決まる
- しかし、これは嘘
- いま必要な解像度「データの価値はユースケースで決まる」
- どういったユーザーがどういった場面でデータを使っているか、が最も大事
- データの価値が出せる条件について解像度が低い
- データ分析をしてアウトプットして、それが活きることは正直そこまで多くない
- データを適用するシーンが適切であれば、Small Dataでも勝機はある
- 逆に言うと、どういったシーンであれば、活きるかを考えることが大事
- 一方で、柔軟性の高いデータ基盤があることが、アジリティ高く、トライ&エラーを行う土台となり得る
- データを今見れなくても、ビジネスは出来る
- あれば便利だが、なくてもなんとかなる、というのを多くの人は直感的に理解している
- データは80%対他者で必要となるケースが多く、20%は自分が知りたいから
- 対他者は、数字があったほうがコミュニケーションが上手く行くことが多いため
- 誰が誰にどのようなレポートをしているか、誰がガバナンスを管理しているか、なども考慮が必要
- データがあることで、コミュニケーションがより円滑になる
Conclusion
- 一般的な回答は、不正確で無責任な幻想が多い
- 自分たちにとって必要なのは、事業にもデータにも解像度を高く持ち、「事業とデータの交点」に対して解像度を高く持つこと
所感
自分は割と雑に「データドリブン」や「意思決定にダッシュボードが役立つ」などと言ってしまいがちな人間なので、改めてデータを扱うことはどういうことかを考える良い機会になったセッションでした。
特に、Theme3での「データは主観×客観の重ね合わせ」が心に刺さりました。何かしらデータを元に提案・議論する際は、データの解析結果をつらつらと話すだけでなく、ちゃんと自分の意思を併せた主観と共に臨むようにしていきたいですね。
(余談ですが、数年前からXでフォローしている樫田さんを初めて生で見たのでテンションが上がりましたw)